超早期化する日本の新卒採用
大学1年生から就活が始まる時代がやってきた!
経団連による就活ルールが2021年卒から廃止され、それに代わって政府が就活ルールの旗振り役になることが決まりました。

これまで経団連非加盟企業は就活ルール順守意が低かったとはいえ、就活生に人気の高い企業が多く存在する経団連加盟企業が就活ルールに則って活動してきたことで、新卒採用市場は就活ルールを基準に動いてきました。

ところが新就活ルールが始まる2021年卒の新卒採用市場では、内容が経団連が廃止した就活ルールと同じであるところから、経団連加盟企業がこれを守ろうとすることは期待できません。そうなると、どこにも就活ルール順守に向けて働くパワーが見当たらないところから、学生側にも企業側にも就活ルールに対する疑心暗鬼が広がり、その結果2021年卒の新卒採用市場は早期化することが懸念されています。



そうした懸念は既に2020年卒の採用市場に表れ始めています。

それを端的に表しているのが2019年1月に発表された就職情報サービス大手のディスコ社の調査結果です。それによれば、大学3年生の12月までにほぼ9割がインターンシップへの参加を経験しており、約3割は既に企業の本選考を受けていて、5%近くは内定まで取得していることがわかります。

同調査では、それと同時に学生の就活準備も早期化している様子がわかります。自己分析や就職準備イベント参加などは7割を越え、業界研究や企業研究を実施している大学3年生もも7割に迫る水準となっています。

また、新聞報道によれば大学のキャリアセンターが実施している2年生を対象にしたインターンシップもあっという間に申込がいっぱいになっている様子や、2年生のうちに学校と長期インターンシップを同時にこなす学生の姿なども紹介されています。

こうしたことからも、新しい就活ルールに対する疑心暗鬼が就活生のあせりを誘い、就活準備がどんどん前倒しになってきている姿がうかがえます。もはや「就活準備は大学1年生から」というのが当たり前の時代に突入したと言ってもよいかもしれません。

一方でこうした状況は企業に対策を急がせています。就活の超早期化は企業にとって採用活動にかかわるマンパワーの負担が増大することを意味します。また、就活の超早期化に伴って採用活動も前倒しされる結果、内定時期も早くなります。内定時期が早くなれば、それだけ内定者フォローの期間が長くなり、内定辞退のリスクも高まります。こうしたリスクへの対策として「内定者SNS」の導入や、コンサルティング会社に内定辞退防止の対策を依頼するといった動きが見られます。
就活ツールの進化
 「実質的な自由化」とも呼べる日本の新卒採用市場では、学生の就活や企業の採用活動を  支援するさまざまなサービスも生まれています。そのことは、超早期化する日本の就活に と  って、そうしたサービスを上手く活用できるか否 かで就活力に大きな差がつく時代になった  ことを意味していると言えます。
採用手法の変化
 就活が超早期化することで変わるのは学生の活動だけではありません。企業の採用方法に も変化が現れています。新就活ルールが十分機能しなくなっても、政府が公式に打ち出すル ールを正面切って無視することには、企業にも就職情報サービス企業にも抵抗があると考え られます。そのため就活が超早期化していくといっても、企業説明会の開催がどんどん前倒 しで実施されていくことに はなりにくいという事情があります。
超早期化の乗り切り方
 新卒採用市場の超早期化は、特に知名度や企業規模といった「外形的要因」で新卒採用で  苦戦を強いられてきた企業には就活期間の長期化という意味でチャンスを与えてくれます。  短期決戦型の採用では、学生も企業を深く理解する機会がなかなか得られないまま応募先 企業を絞り込む必要に迫られるため、どうしても知名度や企業規模などに影響されやすくな  ります。